アンテナ種別の選択
パラメータ調整
リアルタイム算出インピーダンス 給電点基準
① 電流 \( I(z) \) とアンテナ直下の平行電界 \( E_z(z) \) の時空ダイナミクス
アンテナ上を流れる定在波電流と、それによって自己誘起される直下の平行複素電界の「同相・異相」の関係をアニメーション化
起電力法(Induced EMF Method)とポインティングベクトル法による実部(放射抵抗)&虚部(リアクタンス)の物理的可視化
アンテナ上を流れる定在波電流と、それによって自己誘起される直下の平行複素電界の「同相・異相」の関係をアニメーション化
線状アンテナにおける自己放射インピーダンス \( Z = R + jX \) の導出は、電磁気学とアンテナ工学における最も美しい数式展開の一つです。マクスウェル方程式から起電力法を用いた最終解の算出にいたるすべての論理的ステップを、以下の16段階に完全分解して解説します。
長さ \( L \)、半径 \( a \) の細線アンテナを \( z \) 軸上に配置します。原点 \( z=0 \) をアンテナの給電点とし、導体上の任意の点を \( z' \) (\( -L/2 \le z' \le L/2 \)) と指定。観測点までのベクトル表現を準備するため、円筒座標系 \( (r, \phi, z) \) を設定します。
アンテナ先端(\( z = \pm L/2 \))で電流が反射しゼロになる境界条件を満たすため、電流分布 \( I(z') \) を正弦波定在波と仮定します。給電点における入力端子電流を \( I_{in} \)、電流最大点(腹)の振幅を \( I_m \) とすると: \[ I(z') = I_m \sin\left[ k \left( \frac{L}{2} - |z'| \right) \right] \] が成り立ちます。ここで \( k = 2\pi / \lambda \) は自由空間の波数です。
導体電流 \( I(z') \) から放射される電磁界の基礎として、ヘルツ遅延ベクトルポテンシャル \( A_z \) の積分式を以下のように構成します: \[ A_z(r, z) = \frac{\mu_0}{4\pi} \int_{-L/2}^{L/2} I(z') \frac{e^{-jkR}}{R} dz' \] ここで \( R = \sqrt{r^2 + (z - z')^2} \) は源から観測点までの物理距離です。
スカラーポテンシャル \( \Phi \) とベクトルポテンシャル \( \mathbf{A} \) を仲介するため、ローレンツゲージ条件を適用します: \[ \nabla \cdot \mathbf{A} + j\omega\mu_0\varepsilon_0 \Phi = 0 \implies \Phi = -\frac{1}{j\omega\mu_0\varepsilon_0} \frac{\partial A_z}{\partial z} \] これにより、電界をベクトルポテンシャル \( A_z \) のみによって解く道筋が立ちます。
複素電界成分の \( z \) 方向平行成分 \( E_z \) は、\( \mathbf{E} = -j\omega\mathbf{A} - \nabla \Phi \) の \( z \) 成分より: \[ E_z = -j\omega A_z - \frac{\partial \Phi}{\partial z} = -j\omega A_z + \frac{1}{j\omega\mu_0\varepsilon_0} \frac{\partial^2 A_z}{\partial z^2} = \frac{1}{j\omega\mu_0\varepsilon_0} \left( \frac{\partial^2 A_z}{\partial z^2} + k^2 A_z \right) \] という、一次元の微分波動方程式が導き出されます。
微分方程式にポテンシャル定義式を代入し、部分積分およびオイラー公式を適用してアンテナ導体表面(極近傍半径 \( r = a \))における電界を解析的に定式化します: \[ E_z(z) = -j \frac{\eta_0 I_m}{4\pi} \left[ \frac{e^{-jkR_1}}{R_1} + \frac{e^{-jkR_2}}{R_2} - 2\cos\left(\frac{kL}{2}\right) \frac{e^{-jkr_0}}{r_0} \right] \] ここで、各変数は以下の距離情報を示します: \( R_1 = \sqrt{(z - L/2)^2 + a^2} \), \( R_2 = \sqrt{(z + L/2)^2 + a^2} \), \( r_0 = \sqrt{z^2 + a^2} \)
完全導体表面での境界条件は、接線電界が \( 0 \) です。しかし、給電点におけるデルタ関数的な電圧注入による不連続性が電界を生みます。この印加電界と誘起電界の関係を自己インピーダンス導出の物理的土台とします。
アンテナ表面上の局所電流 \( I(z) \) が、自らが発生させた周囲の電界 \( E_z(z) \) に抗って行う複素仕事(複素電力量)を積分します。この全複素仕事率 \( P_c \) が複素入力パワーに等しいという、ポインティング定理の近傍積分形式が**起電力法**の根底です。
アンテナ素子全体における仕事量を計算するため、次の定積分方程式を設計します: \[ P_c = -\frac{1}{2} \int_{-L/2}^{L/2} E_z(z) I^*(z) dz \] この複素電力量 \( P_c \) を給電点電流 \( I_{in} \) で除することにより、求める複素インピーダンスが得られます: \[ Z_{in} = \frac{2 P_c}{|I_{in}|^2} = -\frac{1}{|I_{in}|^2} \int_{-L/2}^{L/2} E_z(z) I^*(z) dz \]
被積分関数を実部と虚部に展開します。 \( E_z(z) = E_{z,real} + j E_{z,imag} \) とし、定在波電流が実数(同位相基準)であると近似すると、 \[ R_{in} = -\frac{1}{|I_{in}|^2} \int_{-L/2}^{L/2} E_{z,real}(z) I(z) dz \] \[ X_{in} = -\frac{1}{|I_{in}|^2} \int_{-L/2}^{L/2} E_{z,imag}(z) I(z) dz \] のように、実部が「空間に伝搬する放射エネルギー(放射抵抗)」、虚部が「周囲に非放射で留まる電気・磁気エネルギー(リアクタンス)」として数学的に完全に独立して分離されます。
これらの物理積分は基本関数(三角関数など)では解けず、必ず次の**複素指数積分関数**に帰着します。ここで特殊関数を導入します: \[ Si(x) = \int_{0}^{x} \frac{\sin t}{t} dt \] \[ Ci(x) = C + \ln x + \int_{0}^{x} \frac{\cos t - 1}{t} dt \quad (C \approx 0.577215 \dots \text{ オイラーの定数}) \]
積分を実行するため、電界式中の積 \( \sin[k(L/2 - |z|)] \) と指数項 \( e^{-jkR} \) の複素積を三角関数の積和公式を用いて展開します。そして、\( u = k(R_1 + z) \) などの変数変換を行い、積分領域を整理します。
実部を定積分し、電流最大点基準インピーダンスから給電点インピーダンスに補正することにより、放射抵抗の厳密解が得られます: \[ R_{in} = \frac{\eta_0}{2\pi \sin^2(kL/2)} \left\{ C + \ln(kL) - Ci(kL) + \frac{1}{2}\sin(kL)[Si(2kL)-2Si(kL)] + \frac{1}{2}\cos(kL)[C+\ln(kL/2)+Ci(2kL)-2Ci(kL)] \right\} \]
同様に虚部電界から蓄積パワーを積分し、リアクタンスの基礎公式を数学的に確定します: \[ X_{in} = \frac{\eta_0}{2\pi \sin^2(kL/2)} \left\{ Si(kL) + \frac{1}{2}\cos(kL)[2Si(kL)-Si(2kL)] - \frac{1}{2}\sin(kL)[\ln(kL/2)+Ci(2kL)-2Ci(kL)+C] \right\} \]
薄線近似モデルでは、ワイヤに沿った近傍界の特異性(分母 \( R \) が \( 0 \) に近づく)を解決するため、ワイヤの半径 \( a \) から決定される線形静電界補正項をリアクタンスに追加します: \[ \Delta X \approx - \frac{\eta_0}{2\pi} \ln\left(\frac{L}{2a}\right) \frac{1}{\tan(kL/2)} \] これにより、共振長から外れた周波数での不連続なリアクタンス発散を高精度にシミュレート可能になります。
得られたすべての数式に \( L = 0.5\lambda \) (\( kL = \pi \)) を代入します。 \( \sin(kL) = 0 \), \( \cos(kL) = -1 \) より、 \[ R_{in} \approx \frac{\eta_0}{2\pi} [C + \ln(2\pi) - Ci(2\pi)] \approx 73.13 \ \Omega \] \[ X_{in} \approx \frac{\eta_0}{4\pi} [2Si(\pi) - Si(2\pi)] \approx +42.54 \ \Omega \] が得られます。リアクタンスが \( +42.54\ \Omega \)(誘導性)であるため、インピーダンスを純抵抗(\( X_{in} = 0 \))にして不整合損失をゼロに抑えるために、アンテナ物理長を数%短縮する**波長短縮(約 \( 0.475\lambda \))**を行う設計実務の数学的根拠が証明されました。