電磁放射のリアルタイム2D可視化
アンテナ設定
シミュレーション制御
プローブ観測点での電磁界時間波形 $E(t) / H(t)$
電磁界強度成分の距離減衰特性 (両対数)
電磁放射の遠方界と近傍界
アンテナ周辺の空間は、その物理的性質に基づき3つの異なる「界(フィールド)」に分類されます。
最も重要な物理的直観:エネルギーの往復 vs 放射
電磁界を理解する極意は、「蓄積(無効エネルギー)」と「放射(有効エネルギー)」の対比にあります。
- 反応近傍界(反応界): 電界と磁界の位相が$90^\circ$ ずれています。これはLC回路と同様で、エネルギーはアンテナの極めて近くを行き来するだけで、外部に飛び去ることはできません(ポインティングベクトルの時間平均はゼロ)。
- 遠方界(放射界): 電界と磁界が完全に同位相で直交し同調します。エネルギーは空間を平面波として光速で伝播し、無限の彼方へと放射されます。
1. 反応近傍界 (Reactive Near-Field)
アンテナに極めて近い領域。電磁エネルギーのほとんどが、アンテナを取り巻く静電容量(電界)またはインダクタンス(磁界)に蓄えられています。
境界(ラジアン球): $r < \frac{\lambda}{2\pi} \approx 0.159\lambda$
減衰特性: 電界は $1/r^3$ (ダイポールの場合) に比例して超急速に減衰します。
2. 放射近傍界(フレネル領域, Radiating Near-Field)
反応電磁界は急速に消え去り、放射される電磁エネルギーが支配的になり始めますが、まだ「球面波」が複雑に干渉し合っている領域。アンテナの形状の影響が強く残り、位相や指向性パターンが距離によって変化します。
範囲: $\frac{\lambda}{2\pi} < r < \frac{2D^2}{\lambda}$ ($D$ はアンテナの最大開口長)
3. 遠方界(フラウンホーファー領域, Far-Field)
アンテナの物理構造の影響が消失し、波は完全に「平面波」として近似できます。電界と磁界の振幅比は常に自由空間の波動インピーダンス $\eta_0 \approx 377\ \Omega$ に固定されます。
範囲: $r > \frac{2D^2}{\lambda}$ (パラボラなど開口面アンテナで顕著)
減衰特性: 電界・磁界強度ともに $1/r$ に比例(電力は $1/r^2$)してなだらかに減衰します。